手術は、がん組織を外科的に切り取る治療法です。特に進行がんに対しては有効な治療法になります。切除範囲が大きい場合は再建手術を行い、切除部分を修復します。
早期発見の機会が増えていることや、再建手術など手術技術の進歩により外科治療でも発声や摂食機能が温存できるようになっています。がんの部位や進行度、患者さんの状態に応じた治療が計画されます。
手術法の決定
ごく早期に見つかった場合、一部のがんでは内視鏡を用いて口から切除することがあります(経口的切除)。原発巣の進行度と切除範囲、リンパ節転移の状況、会話や摂食機能を温存した機能温存手術の可能性などを考慮したうえで手術法が決められます。
手術法を決定する際のポイント
臨床頭頸部癌学, p107-133. 南江堂, 2016
もっと知ってほしい頭頸部がんのこと, p9. NPO法人キャンサーネットジャパン, 2015
原発巣の手術のほかに、次のような手術が行われます。
- 頸部リンパ節郭清術
がんが頸部のリンパ節に転移している場合や転移の可能性が高い場合、そのリンパ節を切除する手術です。リンパ節の周囲組織も含めて広く切除することもあります。
- 再建手術
がんの手術で切除した部分を、お腹や大腿、前腕などの組織を使って修復し、機能や形態の再建を目指す手術です(「頭頸部がんの再建手術について」をご参照ください)。
- 嚥下機能改善手術
広範囲の舌切除や進行した中咽頭がんで、術後の嚥下機能を保持するために行われる手術です。
- 監修:
- 国立がん研究センター東病院
副院長 頭頸部外科
林 隆一 先生