2頭頸部がんの病期

病期(ステージ)とはなんですか?どのように決められますか?

病期とは、病気の進行の程度を数値で示したもので、治療方針を立てるうえで重要な判断材料となります。

がんの病期は、がんの広がり(T)、リンパ節への転移の状態(N)、他の臓器への転移(M)の3項目をもとに、ⅠからⅣのローマ数字で表されます(TNM分類)。
頭頸部がんの病期は、がんが発生した部位(原発巣)ごとに異なりますが、おおむね次のように分けられます。

口腔がん、中・下咽頭、喉頭がんの病期分類(おおまかな目安
※上咽頭がん、HPV陽性中咽頭がんを除く

区分 病期
(ステージ)
TNM分類
早期 Ⅰ期、Ⅱ期 小さながんで、頸部リンパ節への転移がない
(原発巣が極めて小さい場合はⅠ期)
進行 Ⅲ期 原発巣が大きいか、小さくても頸部リンパ節への転移が1つある(3cm以下)
ⅣA期 原発巣が周囲の組織に広がっているか、6cm以下の頸部リンパ節転移が1つないしは多発している
ⅣB期 原発巣が首の動脈や頭の骨にまで広がっているか、6cmを超えるリンパ節転移、または節外浸潤のあるリンパ節転移がある
ⅣC期 がんが他の臓器に転移している(遠隔転移)
スクロールアイコン
TNM Classification of MALIGNANT TUMOURS Eighth Edition, p17-35. WILEY Blackwell, 2017をもとに作成

治療メモ

転移について
「転移」とは、がん細胞が、がんが発生した部位から血液やリンパ液の流れにのって移動し、別の場所で増えることをいいます。
頭頸部がんでは、隣接する「頸部リンパ節」に転移することが多く、進行にしたがって、転移したリンパ節の数やサイズが大きくなることがあります。さらに、肺、肝臓、骨など、離れた臓器に転移することがあり、これを遠隔転移といいます。
林先生

頸部リンパ節転移の進み方(N分類
※上咽頭がん、HPV陽性中咽頭がんを除く

  1. N0
    N0
  2. N1
    N1
  3. N2a
    N2a
  4. N2b
    N2b
  5. N2c
    N2c
  6. N3a
    N3a

節外浸潤のあるリンパ節転移はN3bとなる

TNM Classification of MALIGNANT TUMOURS Eighth Edition, p17-35. WILEY Blackwell, 2017をもとに作成
監修:
国立がん研究センター東病院
副院長 頭頸部外科
林 隆一 先生

 

(2023年4月作成)