多発性骨髄腫が進行すると、主に①骨髄が骨髄腫細胞でいっぱいになる、②骨の代謝(修復と破壊)バランスがくずれる、③Mタンパクが大量に作られる、ということが体内でおきています。これらによって、下記のようなさまざまな症状や臓器障害があらわれます。
- ① 骨髄が骨髄腫細胞でいっぱいになることでおきる症状
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- 貧血:めまい、だるさ、疲れやすさ、息切れ、動悸
- 感染:風邪、肺炎、尿路感染症などにかかりやすい
- 神経症状:手足のしびれや麻痺
- 出血:鼻血、歯茎からの出血、血が止まりにくい
- ② 骨の代謝バランスがくずれることでおきる症状
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- 骨病変:骨がもろくなることによる骨折、骨の痛み(腰、背中など)、骨粗しょう症
- 高カルシウム血症:多飲、多尿、口渇、便秘、吐き気、嘔吐、意識障害
- ③ Mタンパクが大量に作られることでおきる症状
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- 腎障害:Mタンパクの一部(軽鎖)が大量に尿中に排泄され尿細管に詰まることや、Mタンパクが変性してできるアミロイド*の糸球体への沈着、高カルシウム血症などによる、腎機能の低下
- 過粘稠度症候群:Mタンパクが増えて血液がドロドロになることによる頭痛、視覚障害
*アミロイド:水に溶けない性質を持つ異常なタンパク質で、さまざまな臓器に沈着し機能低下を引きおこします
日本骨髄腫学会 編:多発性骨髄腫の診療指針 第5版,文光堂,2020
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監修:
- 群馬大学医学部附属病院 血液内科 科長
診療教授 半田 寛 先生