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1PCNSLについて

中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSL)とはどんな病気ですか?

がん化したリンパ球が異常に増殖し、それが中枢神経系だけにみられる病気です。脳腫瘍として分類されることもあります。

悪性リンパ腫は血液の中にある細胞のうち、リンパ球(白血球の一種)と呼ばれる細胞が異常に増えてしまう(がん化する)病気のことです。脳や脊髄の中だけにがん化したリンパ球がみられる場合に、中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSLと略されることもあります)と診断されます1)

リンパ球にはいくつかの種類がありますが、PCNSLのほとんど(90%以上)の患者さんでは「B細胞」という細胞が異常に増殖しています1,2)。がん化したB細胞が脳内に広がることにより、血管の周囲や脊髄、眼球などに進展することがあります3)

PCNSLでは、約85%が大脳、約13%が小脳や脳幹にがんがみられます4)。このため、脳腫瘍として分類されることもあります。また、30~40%の患者さんでは、中枢神経系のさまざまな部位で同時にがんがみつかります4)

※脳と脊髄をまとめて中枢神経系と呼びます。中枢神経系は、刺激を受け取って、運動などの指令を出す働きをしています。

中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSL)ができる主な部位

中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSL)ができる主な部位

なお、他の部位にできたリンパ腫が中枢神経に転移した場合は、PCNSLには含まれず、二次性中枢神経系リンパ腫として区別されます。

PCNSLはすべての脳腫瘍の4.9%を占め2)、すべての悪性リンパ腫の約1~3%3)を占めると言われています。

PCNSLの患者さんは高齢者が多く、患者さんの6割以上を60歳以上が占めています1,4)。また、患者さんの男女比は、男性が約55%、女性が約45%とほぼ同じです2)

新たにPCNSLを発症する患者さんは、年間で10万人あたり約0.5人前後と推測されています3)。まれな病気ですが、近年では高齢者を中心に増加する傾向がみられます1)

  • 参考文献
  • 1)日本脳腫瘍学会(編):脳腫瘍診療ガイドライン2019年版, 金原出版, 2019
  • 2)Neurol Med Chir (Tokyo). 57(Suppl 1): 9-102, 2017
  • 3)脳原発悪性リンパ腫治療の発展. 神経疾患最新の治療2012-2014, 南江堂, 37-40.
  • 4)三島一彦. 日本臨牀73(Suppl 8): 585-596, 2015
監修:
埼玉医科大学国際医療センター
脳脊髄腫瘍科 教授
三島 一彦 先生