5.治療方法について:放射線治療

リンパ腫は、放射線に弱いとされています。中枢神経系原発悪性リンパ腫の初めての治療(発症後の最初の治療)では、化学療法を実施した後に、効果の維持や増強を目的として放射線を脳全体に照射(全脳照射)します。

中枢神経系原発悪性リンパ腫に用いられる放射線治療の種類

  1. ① 地固め照射
    化学療法がよく効いた場合に、がん細胞をさらに減らして再発を遅らせ、生存期間を延ばすことを目標に行う
  2. ② 救済照射
    化学療法があまり効かなかった場合や再発した場合に推奨される治療で、地固め照射より強めの線量を照射する
  3. ③ 代替治療
    何らかの原因で化学療法ができない場合の代わりとして推奨される治療で、救済照射と同等か、それ以上の線量を照射する
  4. ④ 緩和照射
    リンパ腫の消失を目的とせず、症状を緩和するために行う
脳腫瘍の種類

放射線治療の副作用

放射線治療の途中、または直後にみられる副作用

放射線治療の途中、または直後に、以下のような副作用があらわれることがあります。

  • 頭痛
  • 悪心
  • 角膜炎
  • 網膜障害
  • 疲労感
  • 食欲不振
  • 皮膚炎
  • 吐き気・嘔吐
  • 下痢
  • 口の乾燥
  • 口内炎
  • 脱毛
  • など

副作用への対処法

  • 過度な運動は避け、疲れやだるさを感じたら、無理せず休むようにしましょう。調子がよければ、適度に体を動かすことが気分転換になることもあります。
  • 放射線で障害を受けた細胞を修復させるため、普段よりも多くのカロリー、栄養が必要になります。少量ずつを数回に分けて食べたり、高カロリー食を摂るなどの方法がありますが、食事が摂れないときは無理をせず、医師や栄養士に相談しましょう。
  • 皮膚に異常を感じる場合は、皮膚を刺激しない衣服にしたり、入浴はぬるめのお湯で短時間にするなど、 皮膚に刺激を与えないようにします。放射線治療による皮膚炎の治療には専門知識が必要なので、症状が気になる場合は、医師に相談しましょう。

放射線治療が終わった後にみられる副作用

放射線治療が終わって数ヵ月以上経ってから、高次脳機能障害(記憶障害や認知機能障害など)などの副作用があらわれる場合もあります。そのため、治療が終わっても定期的に受診するようにしてください。

なにか不安なことがある場合には、医師、看護師または薬剤師にご相談ください。

監修:
埼玉医科大学国際医療センター
脳脊髄腫瘍科 教授
西川 亮 先生

(2023年3月作成)