転移したがんであることは判明していて、最初にがんが発生した部位(原発巣)がわからないがんのことをいいます。
がんは、最初に発生した部位(原発巣)から、離れた部位へと転移する性質があります。原発不明がんは、転移したがんであることはわかっていても、最初にどこの部位に発生したか、詳しい検査を行ってもわからないがんを総称したものです。
原発不明がんでは、さまざまな種類のがんが含まれているため、病気の状態はひとり一人異なります。また、通常のがんの転移とは異なる特徴があります。日本での罹患数(1年間に診断された患者さんの数)は約7,000人で、がん全体の1~5%と推定されています。女性に少し多い傾向があり、年齢では65歳以上の方に多く認められます。
通常のがんの転移とは異なる特徴
日本臨床腫瘍学会編:原発不明がん診療ガイドライン 改訂第2版, p2-4, 南江堂, 2018
国立がん研究センターがん対策研究所編:平成31年 全国がん登録 罹患数・率 報告, p57, 厚生労働省健康局がん・疾病対策課発行, 2022
安藤正志:原発不明がん〜どのように取り扱えば良いのか、診断から治療までの流れ〜, p10-11, 医学と看護社, 2021
原発不明がんが見つかる部位
原発不明がんが見つかる部位(臓器)で多いのは、リンパ節、肝臓、骨、肺などです。1つの臓器だけの場合もありますが、複数の臓器に広がっていることも多くあります。
Hess KR, et al. Clin Cancer Res. 5: 3403-3410, 1999より作成
がんの転移と原発不明がん
- 転移とは、がん細胞が原発巣から血管やリンパ管の中に入り込み、流れによって運ばれた離れた臓器で腫瘍を形成することをいいます。
- リンパ液の流れが集まる「リンパ節」や血液の流れが多い「肝臓」「骨」「肺」などの臓器は、がんが転移しやすい部位として知られています。 原発不明がんも、これらの部位で多く見つかっています。
安藤正志:原発不明がん〜どのように取り扱えば良いのか、診断から治療までの流れ〜, p8-18, 医学と看護社, 2021
- 監修:
- 千葉大学大学院医学研究院 臨床腫瘍学 教授
滝口 裕一 先生