3原発不明がんの治療

治療方針は、どのように決められますか?

原発巣が不明でも、あるがんからの転移が強く疑われる場合は、そのがんに基づいた治療を行うことが基本です。治療方法は、「特定の治療法があるグループ」かどうかを見極めたうえで、患者さんの状態に合った治療法が選択されます。

原発不明がんの治療方法は、がんの広がり方やがん細胞の組織型などから、「特定の治療法があるグループ」と「それ以外のグループ」に分けられます。
「特定の治療法があるグループ」は、原発不明がん全体の15~20%を占めるとされ、このグループに当てはまる患者さんについては、外科手術や放射線療法を含め、個々の状態に応じた治療法を行うことが勧められています。
「それ以外のグループ」の患者さんについては、年齢や全身状態、診断時に推定される原発巣などを考慮したうえで、お薬による「薬物療法」や症状を和らげることを目的とした「緩和ケア」が行われます。
どちらの場合も、原発巣を調べるための過剰な検査で治療開始の時期が遅れないことが大切で、長くても1ヵ月以内には治療を開始することが望ましい、と考えられています。

治療の説明を受ける
日本臨床腫瘍学会編:原発不明がん診療ガイドライン 改訂第2版, p2-4, 29-30, 南江堂, 2018
安藤正志:原発不明がん〜どのように取り扱えば良いのか、診断から治療までの流れ〜, p30-33, 医学と看護社, 2021
国立がん研究センター 希少がんセンター「原発不明がん」
監修:
千葉大学大学院医学研究院 臨床腫瘍学 教授
滝口 裕一 先生

(2024年1月作成)