1原発不明がんについて

原発巣がわからないのは、どうしてですか?

主な原因としては、次のようなことが考えられます。

  • がんが、非常に小さい段階で転移を起こし、さらに原発巣が自然に消えた(精巣発生の胚細胞腫瘍など)
  • 検査で見つけにくいところに、原発巣がある(小腸がん、虫垂がんなど)
  • 診断時に広い範囲にがんが広がっていて、原発巣を見つけるのが困難(すい臓がん、胆道がんなど)
  • がんを発生させる組織が、本来はないはずの臓器にできて、がんになった(子宮内膜組織が子宮以外の部位に入り込んだ場合など)

がんの中には①のように、非常に小さいうちから転移をするものや、まれに原発巣が消えるものがあります。また、②③のように、検査で見つけるのが困難な部位に発生したり、診断時にがんが広い範囲に広がっている場合も、原発巣の判明が困難となる原因になることがあります。

医師からの診断

ひとくちメモ

原発不明がんの頻度は、画像診断や病理診断の技術とも大きくかかわっています。近年、画像検査の診断技術が進歩したことで、これまでは発見しにくかった体の奥の小さながんも見つかることが増えてきました。これにより、原発不明がんの頻度は減少しています。

安藤正志:原発不明がん〜どのように取り扱えば良いのか、診断から治療までの流れ〜, p10-11, 医学と看護社, 2021
監修:
千葉大学大学院医学研究院 臨床腫瘍学 教授
滝口 裕一 先生

(2024年1月作成)