2PCNSLの検査と診断
中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSL)ではどんな検査をするのですか?
中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSL)の検査は「中枢神経系の検査」と「全身の検査」があります。
PCNSLの検査は大きく2つに分けられます1)。
- ① 中枢神経系の検査:診断を確定させるための検査
- ② 全身の検査:中枢神経系以外に病気が広がっていないか、他の病気ではないかなどを確認するための検査
中枢神経系の検査
PCNSLは、脳と脊髄の画像診断(MRIやCTなど)である程度は分かりますが、これだけで診断することは難しいため、生体検査(生検:手術をして脳のがん組織を一部取り出して検査すること)をする必要があります。生検の方法としては、頭蓋骨に小さな穴を開け細い針を入れて組織を取り出す方法(定位脳手術)と、頭蓋骨を外して取り出す方法(開頭手術)があります。
生検の方法

全身の検査
中枢神経系以外にも病気が広がっていないか、他の病気ではないかなどを確認するために、全身の検査も行います。CTやMRI、PETなどの画像診断をはじめ、リンパ節の腫れを確認したり、血液検査をしたり、場合によっては腰椎から針で脳脊髄液を採取したりします。
PCNSLの患者さんの約1~2割では、眼球内にもリンパ腫ができている場合があるため眼科的検査も必須です2)。
PCNSLは高齢者に多い病気なので、全身状態(日常生活の制限の程度)や認知機能の確認を行います。また、日本ではほとんどみられませんが、エイズ患者さんが発症しやすい病気でもあるので、念のためHIV※感染の有無も確認します2)。
※HIV:エイズの原因となるウイルス
- 参考文献
- 1)脳原発悪性リンパ腫治療の発展. 神経疾患最新の治療2012-2014, 南江堂, 37-40.
- 2)日本脳腫瘍学会(編):脳腫瘍診療ガイドライン2019年版, 金原出版
- 監修:
- 埼玉医科大学国際医療センター
脳脊髄腫瘍科 教授
三島 一彦 先生