胸膜、腹膜、心膜、精巣鞘膜など内臓を覆っている膜の中皮細胞から発生する悪性腫瘍(がん)の総称で、「希少がん」に分類されています。
中皮腫は、発生する部位によって4つの種類があります。
- 胸膜から発生 ⇒「胸膜中皮腫」
- 腹膜から発生 ⇒「腹膜中皮腫」
- 心膜から発生 ⇒「心膜中皮腫」
- 精巣鞘膜から発生 ⇒「精巣鞘膜中皮腫」(男性のみ)
国内で新たに中皮腫と診断された患者さんの数(罹患数)は年間約2,100人強と、他のがんに比べると大変少ないことから「希少がん」に分類されています(希少がんについてはこちらをご参照ください)。
これら4つの中皮腫のうち、最も多くみられるのが胸膜中皮腫で、全体の85〜90%を占めています。腹膜から生じる中皮腫は10〜15%と少なく、心膜や精巣鞘膜から生じる中皮腫は、それぞれ1%以下と大変まれです。
※これまで「悪性中皮腫」と呼ばれていましたが、最近の医学的な分類の見直しにより、現在は「中皮腫」という名称が使われています。
中皮腫における発症部位別の割合

WHO GLOBOCAN 2022: Japan. World Health Organization:
https://gco.iarc.who.int/today/en/dataviz/pie?mode=cancer&types=0&sexes=0&populations=392
国立がん研究センター 希少がんセンター「悪性腹膜中皮腫/悪性心膜中皮腫/悪性精巣鞘膜中皮腫」
日本臨床腫瘍学会編:新臨床腫瘍学改訂第7版, p387, 南江堂, 2024
Gemba K, et al. Cancer Science, 103(3), 483-490, 2012
日本石綿・中皮腫学会、日本肺癌学会編:中皮腫瘍取扱い規約第2版, p67, 金原出版, 2025
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監修:
- 兵庫医科大学医学部 呼吸器・血液内科学 主任教授/胸部腫瘍学 教授
兵庫医科大学病院 副院長 呼吸器内科 診療部長 がんセンター長
木島 貴志 先生