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1悪性中皮腫について

悪性中皮腫の主な原因は何ですか?

アスベスト(石綿)を吸い込んだこと(曝露ばくろ)との関連が指摘されています。ただし曝露歴がなく、原因が不明なこともあります。

アスベストは、鉱石が繊維状に変形してできた天然の鉱物繊維です。「石綿」とも呼ばれるように、綿状の性質があり、軽く加工しやすいうえに熱や薬品にも強いことから、建設資材をはじめ様々な分野で使われてきました。しかし、アスベスト繊維を吸い込むと、数十年後に悪性中皮腫や肺がんなどの深刻な健康被害を引き起こすことが明らかとなったため、現在ではその使用が全面的に禁止されています。
悪性中皮腫を発症した患者さんは、過去にアスベストによる粉塵にさらされていた経験(曝露歴)のある場合が多いことが知られています。アスベストによる発がんは、アスベストの曝露から20~50年と非常に長い潜伏期間を経て発症するのが特徴です。
ただし、悪性胸膜中皮腫以外の悪性中皮腫の患者さんでは、アスベストの曝露歴がなく、原因が不明な場合も少なくありません。

アスベスト曝露と悪性中皮腫の発症

アスベスト曝露と悪性中皮腫の発症
病気がみえるvol.4 呼吸器 第3版, p302-303, メディックメディア, 2018
国立がん研究センター がん情報サービス「悪性胸膜中皮腫/悪性腹膜中皮腫」
厚生労働省ホームページ「アスベスト(石綿)に関するQ&A」:
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/sekimen/topics/tp050729-1.html
Asbestos.com(https://www.asbestos.com/mesothelioma/peritoneal/)をもとに作成

悪性中皮腫を引き起こすアスベスト

私たちが異物を取り込んでも、通常は、咳や痰、粘膜の働きなどによって異物は排出されます。ところが、アスベスト繊維は、髪の毛の5,000分の1程度と極めて細く、飛散すると空気中に浮遊しやすいうえ、丈夫で変化しにくく分解もされません。このため、アスベストが体内に取り込まれると呼吸や血流に乗って体内に溜まり細胞を刺激し続けます。こうした長期に続く慢性的な刺激が、悪性中皮腫を発生させる要因になると考えられています。

アスベストにさらされた可能性が高い方

アスベストへの曝露は、職業として直接アスベストを扱う職業に従事していた方や同居していたご家族のほか、アスベストを扱う作業所の近くで働いていた方、近くに住んでいた方なども可能性があります。

  • アスベストを扱う職業に従事していた方(例)
    • ・港湾労働に従事していた方
    • ・建設業の方
      (アスベストの吹き付け・解体工事など)
    • ・電気配線業の方 など
  • アスベストを扱う作業所の近くで働いていた方
  • アスベストを扱う作業所の近くに住んでいた方 など

※同居していたご家族も含まれます。

解体工事

厚生労働省のホームページに詳しい解説があります。

石綿にばく露する業務に
従事していた労働者の方へ
アスベスト 石綿と健康被害, p7-13, 独立行政法人 環境再生保全機構 石綿健康被害救済部, 2023
厚生労働省ホームページ「アスベスト(石綿)情報」:
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/sekimen/index.html
監修:
兵庫医科大学医学部 呼吸器・血液内科学 主任教授
兵庫医科大学病院 呼吸器内科 診療部長 がんセンター長
木島 貴志 先生

(2023年11月作成)