2悪性中皮腫の検査と診断について

悪性中皮腫の診断では、どんな検査が行われますか?

問診や診察、画像検査によってがんの状態を調べ、病理検査の結果を総合的に判断したうえで診断されます。

がんの診断は、いくつかの段階を経て行われます。
最初は、担当医による問診と診察が行われます。全身を診察して、腹部や胸部にしこりがないか調べたり、自覚症状や既往歴、職業歴、住環境などから、アスベストの粉塵にさらされた可能性があるかなどを確認します。
さらに詳しい情報を得るために、血液検査や画像検査などが行われます。腹膜発症の悪性中皮腫が疑われた場合は、腹膜病変を起こしやすい消化器や婦人科系の疾患を除外するために、内視鏡検査や婦人科検査が行われることもあります。
最終的には、がんが疑われている部位から細胞や組織を採取し、病理医が病理検査で詳しく調べたうえで診断が確定されます。

悪性中皮腫における発症部位別の割合
国立がん研究センター 希少がんセンター「悪性腹膜中皮腫/悪性心膜中皮腫/悪性精巣鞘膜中皮腫/診断と治療」
国立がん研究センター がん情報サービス「がんになったら手にとるガイド がんの検査と診断のことを知る」
独立行政法人 環境再生保全機構「中皮腫とその診断・治療」
Kitakanto Med J, 62(1), 65-70, 2012

悪性中皮腫の診断に必要な検査

問診・診察

各種の検査で患者さんの状態を確認します

  • アスベストの曝露歴(職業歴・住環境・家族歴など)
  • 血液検査(腫瘍マーカーによる鑑別など)
  • 超音波検査や内視鏡検査で異常所見を確認
問診・診察
画像検査

病変がある部位の状態を確認します

  • X線検査(異常所見の確認)
  • CT検査(体液貯留の程度・がんの形や広がり、大きさを確認)
  • PET検査(がんの位置や広がりを確認)
画像検査
生検・病理検査

がん細胞の有無や種類、組織型を調べます

  • がんが疑われている部位の体液を抜き取ったり、腹腔鏡などを使って病変の一部を採取して、細胞や組織の性質を顕微鏡で詳しく調べ、診断を確定します
  • がん細胞の種類や組織型を確認します
生検・病理検査
国立がん研究センター 希少がんセンター「悪性腹膜中皮腫/悪性心膜中皮腫/悪性精巣鞘膜中皮腫/診断と治療」
国立がん研究センター がん情報サービス「がんになったら手にとるガイド がんの検査と診断のことを知る」
独立行政法人 環境再生保全機構「中皮腫とその診断・治療」
Kitakanto Med J, 62(1), 65-70, 2012
監修:
兵庫医科大学医学部 呼吸器・血液内科学 主任教授
兵庫医科大学病院 呼吸器内科 診療部長 がんセンター長
木島 貴志 先生

(2023年11月作成)