薬物療法は、抗がん剤を使用してがんの進行を抑えたり、症状をやわらげる治療方法です。抗がん剤は、作用の仕方などにより種類を分けることができ、細胞傷害性の薬による治療を「化学療法」、がん細胞の特定の分子を標的にしてはたらく薬による治療を「分子標的治療」と呼びます1)。原発性マクログロブリン血症/リンパ形質細胞リンパ腫(WM/LPL)の薬物療法で使用できる薬には、以下のようなものがあります。
どの薬をどのような組み合わせで投与するかは、血液の状態、IgM型M タンパクの量、年齢や合併症の有無を考慮して判断されます2)。
化学療法
主に細胞が分裂して増殖していくときに必要なDNAの合成・複製を妨げ、がん細胞の増殖を抑えるはたらきがあります。
(イメージ図)光が当たっているところは、攻撃の範囲を示します。
分子標的治療
特定の遺伝子のタンパク質に作用し、がん細胞が増えるのを抑えるはたらきがあります。
(イメージ図)光が当たっているところは、攻撃の範囲を示します。
- 1)国立がん研究センター がん対策情報センター 編著: がんになったら手にとるガイド. 2013; 学研プラス. 139-141.
- 2)日本血液学会 編: 造血器腫瘍診療ガイドライン2018年版補訂版, 2020, 金原出版.
化学療法の副作用
化学療法では、選ぶ治療の種類によって異なりますが、以下のような副作用があらわれることがあります。
アレルギー反応発熱 息苦しさ かゆみ 発疹 など
骨髄抑制感染症(発熱、寒気、喉の痛み など)、出血(鼻や歯ぐきからの出血、青あざ、血が止まりにくい など)、貧血(頭が重い、動悸、息切れ など)
貧血だるさ、疲れやすさ、めまい、息切れ など
出血のしやすさ鼻血、歯ぐきからの出血、血便、血尿 など
日和見感染症※発熱、寒気、喉の痛み など
血管痛点滴の針を刺しているところやその周囲の痛みや腫れ など
※免疫力が低下した状態で、毒性の弱い微生物などをきっかけに発症した感染症
上記のほか、吐き気・嘔吐や便秘、口内炎、疲労感、脱毛などがみられることがあります。
中川 靖章 監修: ドクターが教える 抗がん剤治療がラクになる生活術. 2017; 日東書院本社. 55-96, 97-138.
国立がん研究センター がん対策情報センター 編著: がんになったら手にとるガイド. 2013; 学研プラス. 143-147.
直江 知樹, 堀部 敬三: チーム医療のための血液がんの標準的化学療法. 2013; メディカル・サイエンス・インターナショナル. 143-157.
分子標的治療の副作用
分子標的薬によって、以下のような副作用があらわれることがあります。
骨髄抑制感染症(発熱、寒気、喉の痛み など)、出血(鼻や歯ぐきからの出血、青あざ、血が止まりにくい など)、貧血(頭が重い、動悸、息切れ など)
重度の皮膚障害発熱、全身が赤くなる、皮膚・粘膜のただれ、水ぶくれ など
過敏症寒気、ふらつき、汗をかく、発熱、意識の低下、口唇周囲のはれ、息苦しい、かゆみ、じんま疹、発疹 など
肝機能障害疲れやすい、体がだるい、力が入らない、吐き気、食欲不振 など
上記のほか、輸注反応(点滴投与時にみられる、呼吸困難や発熱、寒気などの症状のこと)や肺障害、心障害、末梢神経障害などがみられることがあります。
※本コンテンツは、ベレキシブル添付文書に合わせて疾患名を記載しています。
- WM/LPL:
- 原発性マクログロブリン血症(Waldenström's macroglobulinemia)
/リンパ形質細胞リンパ腫(lymphoplasmacytic lymphoma)
- 監修:
- 国立研究開発法人 国立がん研究センター中央病院
血液腫瘍科 科長
伊豆津 宏二 先生