7.原発性マクログロブリン血症に関するその他のQ&Aについて何かありますか?

日常生活で気をつけることはありますか?

治療を始めてからしばらくの間は、無理をせず、疲れを感じたら休息できるようにしましょう。横になって休むこともよいでしょう。あまり遠くまで出かけずに近所を散歩したり、軽い運動や簡単な家事をしたりしながら、体調を整え、体力を回復させます。
治療中は、病気や治療の影響で免疫が低下し、健康な人には影響しないような細菌や真菌、ウイルスなどによる感染症(日和見感染症)を発症することがありますので、気をつけましょう。
きちんと睡眠をとる、体を冷やさないなどの生活習慣の改善も必要です。
また、気になる症状があらわれたら、すぐに主治医に連絡をしてください。

日常生活で気をつけること

国立がん研究センター がん情報サービス 悪性リンパ腫 療養
https://ganjoho.jp/public/cancer/ML/index.html#anchor4(2022年6月閲覧)

治療費がかかることが不安です…

がんの治療費には、入院、化学療法、放射線治療、副作用がある場合はその治療など、さまざまなものにかかる費用が含まれています。このほかに、病院への交通費、支援サービスを活用する場合はその料金などもかかります。また、仕事を休む場合は収入が減ることも考えられますので、経済的な不安は大きいことでしょう。

がん患者さんに対する経済的支援制度は、病院に支払うお金の負担を軽減する高額療養費制度のほか、民間の医療保険や加入している健康保険の傷病手当金があります。
また、収入や心身の状態などについて一定の条件を満たせば、さまざまな助成制度を活用することができます。
経済的に不安がある場合は、早めに「がん相談支援センター」(「がん相談支援センターってなんですか?」 参照)に相談しましょう。

不安

通院での治療はできますか?

最近は、治療の入院期間の短縮や副作用対策が整って きたり、通院が可能な治療法が開発されてきたこともあり、入院治療から通院での治療(外来治療)へ早めに切り替えたり、はじめから外来で治療を行うことも可能になっています。そして、できるだけ普段と変わらない日常生活を送りたいという思いから、外来治療を希望する患者さんが増えています。

外来治療では、仕事や趣味を続けながら、自分らしく毎日を過ごせることが期待できますが、入院治療と比べて医療スタッフと関わる機会が少なくなります。そのため、副作用が起きたときの対処や生活管理をご自身やご家族で行えるようになることが大切です。外来治療を始める前に主治医からきちんと説明を受けて、あらわれる可能性がある副作用の症状や時期、予防や対処方法、急いで病院を受診する必要がある症状、ストレスへの対応方法、体調を整えるための日常的なケアなどについて理解しておきましょう。

通院

仕事をしながら治療をすることはできますか?

リンパ腫に対して治療が必要といわれ、仕事が続けられないのではないかという不安を感じる方もいらっしゃると思います。 原発性マクログロブリン血症/リンパ形質細胞リンパ腫(WM/LPL)は、内服や注射薬などによる治療をきちんと継続することで、仕事と治療を両立することが可能な場合があります。治療法について医師と相談する際には、仕事との両立について相談するようにしましょう。

また、相談する際は、ご自身の仕事の内容や働き方を医師に伝え、「長時間のパソコン作業をしても大丈夫でしょうか?」、「機械の操縦をしてもよいですか?」など、できるだけ具体的に質問をして、意見を聞くとよいでしょう。
副作用が不安な場合には、あらわれる可能性がある症状を医師に予め確認し、対策を考えておくとともに、仕事の量や職場の環境の調整などを職場の上司や産業医に相談することも大切です。

仕事をしながら治療

治療にあたって疑問や不安があるのですが、医師とどのようにコミュニケーションを取ればよいですか?

原発性マクログロブリン血症/リンパ形質細胞リンパ腫(WM/LPL)を含むがんの治療は、患者であるあなたの意見や希望を考慮し、さまざまな医療職が連携するチームで最適な方法を考え、実践していきます。
そのため、治療に対する疑問や不安・希望などは、遠慮せず、積極的に医師やその他スタッフに伝えるようにしましょう。
診療の際には、聞きたいことや伝えたいことをメモをして持参したり、大事な説明の際には家族や信頼できる人に同席してもらう、といった方法が有効です。
また、病状や治療方針の説明などを一度ですべてを理解できなくても大丈夫です。「よく理解できなかった」という場合には、あらためて時間をとってもらうとよいでしょう。

どうしても思うように伝えられない、理解してもらえていないのではないかなど、不安を感じる場合は、ほかの医療スタッフや、がん相談支援センターに相談することも方法の一つです。

医療職が連携するチーム

自宅にいるときや外出中、急に具合が悪くなったときはどうすればよいですか?

まずは、治療をしている病院に連絡しましょう。病院の連絡先や連絡した際に伝える情報は、あらかじめ整理しておきましょう。

緊急時に伝える情報の例
  • 氏名、診療科の名前
  • 受けている治療の内容
  • 具合が悪くなったときの状況 など

また、病院への交通手段、自分一人で移動できない場合の付き添いの確保なども、あらかじめ考えておくとよいでしょう。

緊急時に伝える情報

自分や家族の精神的ストレスが辛い…

がん治療には、体の痛みだけでなく、心の痛みも伴います。辛い気持ちは、ぜひ医師や看護師、がん相談支援センターのスタッフに伝えてみましょう。辛い気持ちを表すと、次第に気持ちが落ち着いてくることもあります。患者会に参加することも一つの方法です。
眠れなくなるなど、日常生活に不便がある場合は、医師に相談して、臨床心理士などの心のケアができる専門家を紹介してもらうのもよいでしょう。

  • NPO 法人キャンサーネットジャパン
    https://www.cancernet.jp/(2023年2月閲覧)
    がん患者さんやご家族のための心のケアの情報などを提供しています。
  • 一般社団法人グループ・ネクサス・ジャパン
    http://group-nexus.jp/nexus/(2023年2月閲覧)
    悪性リンパ腫の患者さんやご家族のための医療情報や交流の場などを提供しています。

がん相談支援センターってなんですか?

すべてのがん診療連携拠点病院に設置されている、がんに関する無料の相談窓口です。通院していない病院の窓口も利用することができます。相談の内容によって専門医やがんに詳しい看護師、薬剤師、栄養士などの専門的な知識を持ったスタッフと連携できる病院もあります。

がん相談支援センターの相談員は、がん専門相談員としての研修を受けており、治療や副作用、経済的不安などの相談はもちろん、家族との関わり方、医療スタッフとの関係性、心の問題まで、がん治療および療養生活に関するさまざまな相談をすることができます。
不安なとき、困ったときに利用してみるとよいでしょう。

※本コンテンツは、ベレキシブル添付文書に合わせて疾患名を記載しています。

WM/LPL:
原発性マクログロブリン血症(Waldenström's macroglobulinemia)
/リンパ形質細胞リンパ腫(lymphoplasmacytic lymphoma)
監修:
国立研究開発法人 国立がん研究センター中央病院
血液腫瘍科 科長
伊豆津 宏二 先生

(2023年3月作成)