6.社会保障制度にはなにがあるの?

がん治療と社会保障制度

原発性マクログロブリン血症/リンパ形質細胞リンパ腫(WM/LPL)は治療が長期にわたるため、治療費などの経済的な負担が大きくなることがあります。
そのような場合、さまざまな社会保障制度を利用することで治療に必要な費用の負担が軽減できることがあります。また、患者さんの生活の状況に合わせた支援制度も設けられています。
ここでは、そのような制度のうち、下記についてご紹介します。

医療費の負担を軽減する制度
  • 保険制度(公的医療保険)
  • 高額療養費制度
  • 高額医療・高額介護合算療養費制度
  • 医療費控除
日常生活の援助を受けられる制度
  • 身体障害者手帳
手当、年金に関する制度
  • 障害年金

保険制度(公的医療保険)

日本では、国民のほぼすべてが国民健康保険や勤務先の健康保険(社会保険)、共済組合、船員保険、後期高齢者医療制度などの公的医療保険制度に加入しています。
治療にかかった費用のうち、決められた割合のみを自己負担として支払います。

手続き窓口:
国民健康保険、後期高齢者医療制度:各市役所・区役所・町村役場の担当窓口
健康保険(社会保険)など:加入している公的医療保険の担当窓口

高額療養費制度

治療にかかる費用負担を軽減する制度として、高額療養費制度があります。高額療養費制度は、大きく2つに分けられます。

パターン1:自己負担限度額を超えた分が払い戻される

1ヵ月あたりの治療費(医療機関や薬局の窓口で支払った額)が自己負担限度額を超えた場合に、その超えた金額が払い戻されます。

パターン2:窓口での支払いが自己負担額上限までになる

制度の限度額適用認定証(加入している公的医療保険の窓口で申請して受け取ります)を医療機関や薬局に提出することで、窓口での支払いを自己負担限度額の範囲内に抑えることができます。(外来・入院を問わず利用できます)

どちらの申請方法も最終的な自己負担額は同じです。ご自分の状況に合わせた申請方法を選択するようにしましょう。

自己負担限度額とは?
1ヵ月あたりの医療費の支払い限度額のことです。「年齢」と「所得」により限度額は異なります。

お問い合わせ窓口:
加入している公的医療保険担当窓口

高額療養費制度について詳細をみる

知っておきたい!がん支援制度
高額療養費制度

高額医療・高額介護合算療養費制度

医療保険と介護保険の両方を利用している方の負担を軽減する制度です。
1年間(8月1日から翌年の7月31日まで)にかかった医療費と介護保険料の自己負担額の合計額が、自己負担限度額を超えた場合に払い戻されます。

医療費

自己負担限度額の基準額は、世帯の「年齢」や「所得」によって決められています。

お問い合わせ窓口:
各市区町村役場の介護保険担当窓口
加入している公的医療保険担当窓口

身体障害者手帳

身体障害者手帳は、各種の福祉サービスを受けるために必要となります。
身体障害者福祉法に基づいて、定められた障害の程度に該当すると認定された方に対して交付されます。障害の程度は、障害の種類別に1級から6級までに区分されています。(7級もありますが、手帳が交付されない場合もあります)

サービス内容の例
  • 医療費の助成
  • 税金の軽減
  • 公共料金の割引 など
手続き窓口:
各市区町村役場の担当窓口、福祉事務所

障害年金

病気などで重度の障害が残った65歳未満の方を対象とした制度です。通常の年金が支給される年齢より前から受給することができます。
日常生活で介助が不可欠な方や、生活や仕事に著しい制限を受ける状態になった方などが対象となります。

加入している公的年金により種類と対象区分が異なります。
  • 障害基礎年金(国民年金)
  • 障害厚生年金(厚生年金)
  • 障害共済年金(共済年金)
お問い合わせ窓口:
障害基礎年金:各市区町村役場の国民年金窓口
障害厚生年金:勤務先の管轄年金事務所窓口
障害共済年金:勤務先で加入している共済組合事務局

障害年金について詳細をみる

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医療費控除

1年間(1月1日から12月31日まで)で、医療費の自己負担額が一定の金額を超えた場合に、納めた税金の一部を還付する制度です。
自己負担額は保険から支給される金額や支払う年の総所得金額により異なります。

お問い合わせ窓口:
お住まいの地域の税務署

※本コンテンツは、ベレキシブル添付文書に合わせて疾患名を記載しています。

WM/LPL:
原発性マクログロブリン血症(Waldenström's macroglobulinemia)
/リンパ形質細胞リンパ腫(lymphoplasmacytic lymphoma)
監修:
国立研究開発法人 国立がん研究センター中央病院
血液腫瘍科 科長
伊豆津 宏二 先生

(2023年3月作成)