4.WM/LPLの治療について
原発性マクログロブリン血症/リンパ形質細胞リンパ腫(WM/LPL)は年単位でゆっくりと進行していく病気です。症状が出ていない場合は、治療をせずに定期的に経過をみます。
すでに症状がある場合、または経過観察中に症状があらわれた場合は、治療を始めるかどうか検討します1)。
治療の流れ
治療を考慮する具体的な症状・検査値異常1,2)
- 持続する発熱・寝汗・体重減少 ・貧血による倦怠感
- 過粘稠度症候群(「IgM型M蛋白血症」参照)
- 末梢神経障害などの合併症・リンパ節や脾臓の腫れ・血球の減少 など
過粘稠度症候群がある場合
過粘稠度症候群がある場合、薬物療法後に眼や脳の出血や昏睡、心不全を引き起こす可能性があるといわれています。そのため、「血漿交換」と呼ばれる治療後に、抗がん剤による薬物療法を実施する場合があります1)。
血漿交換
血液を身体から取り出し、IgM型Mタンパクを含む血漿(血球以外の血液)を除き、新しい血漿に交換します。
交換することで、血液を正常な粘度に近づけることができます。
薬物療法
治療方針は患者さんによって異なることもあります。詳しくは主治医にご確認ください。
再燃・再発時の治療について
初回治療後に再燃・再発した場合の治療方法は、初回治療に対する効果や効果が得られた期間、副作用、年齢や合併症などをふまえて決定されます。
初回時の治療効果がみられ、無治療期間が比較的長く続いた場合(24ヵ月以上)
再燃・再発時は初回治療と同じ方法が選択されることがあります。
初回時の治療効果が短い、または十分な効果が得られていない場合
再燃・再発時は初回治療と異なる薬の投与が検討されます。投与される薬は、1種類のこともあれば、2種類以上を併用することもあります。
- 1)日本血液学会: 造血器腫瘍診療ガイドライン2018年版補訂版, 2020, 金原出版.
- 2)Dimopoulos MA et al. Blood. 2014; 124(9): 1404-1411.
※本コンテンツは、ベレキシブル添付文書に合わせて疾患名を記載しています。
- WM/LPL:
- 原発性マクログロブリン血症(Waldenström's macroglobulinemia)
/リンパ形質細胞リンパ腫(lymphoplasmacytic lymphoma)
- 監修:
- 国立研究開発法人 国立がん研究センター中央病院
血液腫瘍科 科長
伊豆津 宏二 先生
(2023年3月作成)