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小野薬品の薬をご使用の方向け情報

原発不明がんの治療でオプジーボを使用された方へ

原発不明がんの特徴と薬物療法

原発不明がんとは、十分な精密検査を行っても最初にがんが発生した部位(原発巣)がはっきりせず、転移*した病巣だけが判明しているがんをいいます。
原発不明がんでは、見つかった時点ですでにがんが転移した状態です。このため、多くの場合、手術などの局所治療で体内に広がったがん細胞を完全に取り除くことは難しく、全身に作用する薬物療法を中心とした治療が行われます。
薬物療法については、〝がんと免疫〟に関する研究が進み、これまでとは異なる作用を持つ「がん免疫療法」が開発され、治療の選択肢が広がりました。がん免疫療法の薬は、そのメカニズムから「免疫チェックポイント阻害薬」と呼ばれています。

*転移: がん細胞が最初に発生した場所から血管やリンパに入り込み、血液やリンパの流れにのって別の臓器や器官に移動し、そこで増えることをいいます。

オプジーボによる治療の対象となる方(原発不明がん)についてはこちらをご参照ください。

がん免疫療法
国立がん研究センター 希少がんセンター「原発不明がん」
オプジーボ添付文書2021年12月改訂(第11版)

「がん免疫療法」「免疫チェックポイント阻害薬」について詳細をみる

がん免疫とは

オプジーボとは

◆ブレーキを外してT細胞の免疫力を回復させ、がん細胞への攻撃を助ける治療薬です。
オプジーボは、T細胞の PD-1 と結合して免疫の働きにブレーキがかからないようにする「免疫チェックポイント阻害薬」です。
オプジーボが血液に入ると、T細胞の PD-1 と結びつくことでがん細胞との結合が阻害され、かけられたブレーキが解除されます。
こうしたオプジーボの作用によって、T細胞は、妨害を受けることなく、がん細胞を攻撃できるようになるのです。

オプジーボについて詳細をみる

小野薬品の薬を使用された方へ
オプジーボ

オプジーボによる治療の対象となる方

◆適切な精密検査を実施したうえで「原発不明がん」と診断された方のうち、推奨される治療法がない患者さん※※が対象となります。

原発不明がん診療ガイドラインなど最新の情報を参考とした問診、診察、画像検査、病理検査など
※※ 原発臓器が不明な上皮性悪性腫瘍(下記 用語集参照)の患者さんに限られます。

オプジーボによる治療を受けることができない患者さん

オプジーボに含まれている成分に対して、以前、アレルギー反応(気管支けいれん、全身性の皮膚症状、低血圧など)を起こしたことがある方は、さらに重いアレルギー反応が出る可能性があるため、オプジーボによる治療は受けられません。

オプジーボによる治療を慎重に検討する必要がある患者さん

次のような方は、オプジーボによる治療を受けられないことがあります。

  • ◎自己免疫疾患にかかったことがある方
  • ◎間質性肺疾患**にかかったことがある方
  • ◎臓器移植(造血幹細胞移植を含む)を受けたことがある方
  • ◎結核にかかったことがある(発症する恐れがある)方
*:自己免疫疾患
免疫機能が正常に機能しなくなり、体が自分の組織を攻撃してしまう病気で、甲状腺機能異常症や関節リウマチ、1型糖尿病などが自己免疫疾患に含まれます。
**:オプジーボの特に注意すべき副作用をご参照ください。

治療のスケジュールと進め方

◆オプジーボは、30 分以上かけて点滴で投与します。
◆治療スケジュールは、2週間(14 日間)ごとに1回投与する方法と、4週間(28 日間)ごとに1回投与する方法の2種類あります。治療スケジュールについては、主治医にご確認ください。

投与スケジュール
オプジーボ添付文書2021年12月改訂(第11版)

オプジーボの特に注意すべき副作用、注意が必要なその他の副作用、ご注意

オプジーボによる治療中には、副作用が現れることがあるので注意が必要です。下記リンクから詳細をご確認ください。

オプジーボの特に注意すべき副作用、注意が必要なその他の副作用、ご注意

オプジーボによる治療中、特に気をつけていただきたい症状をチェック項目としてまとめています。

用語集

原発巣
がんが最初に発生した部位を「原発巣」といいます。原発巣がはっきりしている場合は通常、肺がん、胃がん、大腸がんのように発生した臓器の名前がついた診断名がつけられます。しかし、原発不明がんのように、適切な精密検査を実施したにもかかわらず原発巣が判明しないがんもあります。
転移
がん細胞は血流やリンパの流れにのって体内を移動し、流れ着いた先で増殖します。これを「転移」といいます。原発不明がんは、転移した病巣だけが判明しているがんで、リンパ節、肝臓、骨、肺などで多くみつかっています(血液のがん、骨や筋肉のがん、中皮腫は含まれません)。
上皮性悪性腫瘍
消化管や気道などの内側や体の表面、臓器などをおおう上皮細胞から発生する悪性腫瘍を「上皮性悪性腫瘍」といいます。肺がん、乳がん、胃がん、大腸がん、子宮がん、卵巣がん、頭頸部がんなどは上皮性悪性腫瘍です(血液のがん、骨や筋肉のがん、中皮腫は含まれません)。
T細胞
血液中を流れている白血球のうち、リンパ球と呼ばれる細胞の一種で、異物から体を守る司令塔となる細胞です。T 細胞という名前は、胸腺(thymus)でつくられることから、頭文字のTを取って名付けられています。
免疫チェックポイント阻害薬
免疫チェックポイントと呼ばれている免疫のブレーキ役の部分に結合する抗体(抗PD-1抗体など)を用いて、がん細胞による免疫へのブレーキを外し、がん細胞への攻撃力を回復させる治療薬です。
1型糖尿病
主に自己免疫によっておこる病気で、自分の体のリンパ球が膵臓にある膵島β細胞を破壊してしまうことで発病する病気です。遺伝的な要因に運動不足や食べ過ぎなどの生活習慣が加わって発症する「2型糖尿病」とは発症原因が異なります。
アナフィラキシー
アレルギーの原因になる物質が侵入することで引き起こされる全身的なアレルギー反応をいいます。全身の発疹やかゆみ、呼吸困難などの症状が急速に現れ(数分~数時間以内)、重症になると生命に危険が及ぶこともあるため、迅速な対応が必要となります。
国立がん研究センター がん情報サービス「がんに関する用語集/がんという病気について/薬物療法」
カラー図解人体の正常構造と機能Ⅶ 血液・免疫・内分泌 改訂第2版, 日本医事新報社, 2012
監修:
近畿大学医学部 内科学 腫瘍内科部門
主任教授 中川 和彦 先生