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5.オプジーボの特に注意すべき副作用
オプジーボによる治療中または治療後は、副作用が現れることがあるので注意が必要です。ここでは、特に注意が必要な副作用を紹介します。
気になる症状がみられたら、医師、看護師、薬剤師へご相談ください。
全身
オプジーボ電子添文 2024年7月改訂(第21版)/オプジーボによる治療を受ける方へ(2024年8月作成版)
間質性肺疾患
酸素を取り込む肺胞と肺胞の間の間質に炎症が起こる病気です。炎症が進むと酸素を十分に取り込めなくなり、命に危険が及ぶおそれがあります。
間質性肺疾患の初期症状は、次のとおりです。
- ●息切れ、息苦しい
-
●
痰 のない乾いた咳(空咳 ) - ●発熱
- ●疲労 など
これらの症状に気付いたら、自分で対処しようとせず、すぐに医師、看護師、薬剤師に連絡してください。
また、次のような患者さんは、間質性肺疾患が起こる可能性が高いので、特に気をつけましょう。
- ●60歳以上の方
- ●間質性肺疾患やその他の肺の病気にかかったことがある方
- ●肺の手術を受けたことがある方
- ●呼吸機能が低下している方
- ●酸素投与を受けている方
- ●肺に放射線を照射したことがある方
- ●抗がん剤の治療を受けている方
- ●腎障害がある方
- 出典:
- 薬剤性肺障害の診断・治療の手引き 第2版 日本呼吸器学会 薬剤性肺障害の診断・治療の手引き第2版作成委員会 編、 メディカルレビュー社、2018
重症筋無力症・心筋炎・筋炎・横紋筋融解症
神経から筋肉への情報の伝達がうまくいかなくなったり、筋肉の炎症が起こったりします。下記の症状の他、症状が急激に悪化し、息がしにくくなることもあります。
- 代表的な症状
-
- ●繰り返し運動で疲れやすい
- ●まぶたが重い
- ●足、腕に力が入らない
- ●筋肉痛がある
- ●ものが二重に見える
- ●吐き気がする
- ●動悸がする
- ●赤褐色尿が出る
- ●胸痛がある
大腸炎・小腸炎・重度の下痢
大腸や小腸の炎症、重度の下痢を発症することがあります。
初期症状は、腹痛、嘔吐、下痢、排便回数の増加、血便です。これらの症状に、発熱を伴う場合もあります。
- 代表的な症状
-
- ●下痢(軟便)あるいは排便回数が増えた
- ●便に血が混じる、便が黒い、便に粘り気がある
- ●腹痛あるいは腹部の圧痛(押すなど圧迫した時に現れる痛み)がある
- ●吐き気や嘔吐がある
1型糖尿病(劇症1型糖尿病を含む)
1型糖尿病を発症することがあり、血糖値検査を行うことがあります。インスリン注射による治療が必要になることがあります。
急速に進行する場合があり、吐き気や嘔吐が現れた後、数日で意識障害などが現れることもあります。
- 代表的な症状
-
- ●体がだるい
- ●体重が減る
- ●吐き気や嘔吐がある
- ●のどが渇く
- ●水を多く飲む
- ●意識障害
- ●尿の量が増える
重篤 な血液障害
血液の成分が減少して、さまざまな症状を引き起こします。血小板数が減少し出血しやすくなる場合や、赤血球が壊れやすくなり重い貧血となる場合、白血球のうち顆粒球やその中の好中球が減少し重い感染症につながる場合があります。
- 代表的な症状
-
- ●鼻血
- ●歯ぐきの出血
- ●点状や斑状の皮下出血
- ●息切れ、息苦しい
- ●体がだるい
- ●顔色が悪い
-
●皮膚や白目が黄色くなる(
黄疸 ) - ●かゆみ
- ●発熱
- ●寒気がする
劇症肝炎・肝不全・肝機能障害・肝炎・硬化性胆管炎
血液中の肝酵素(AST、ALT、γ -GTP、総ビリルビンなど)の数値が基準値より高くなります。定期的に肝機能検査を行います。
- 代表的な症状
-
-
●皮膚や白目が黄色くなる(
黄疸 ) - ●いつもより疲れやすい
- ●吐き気や嘔吐がある
- ●発熱
- ●腹痛
- ●意識の低下
-
●皮膚や白目が黄色くなる(
甲状腺機能障害
新陳代謝を活発にする甲状腺ホルモンなどを分泌する内分泌器官に炎症を起こして、甲状腺中毒症、甲状腺機能低下症などの甲状腺機能障害を発症することがあります。これらの障害では、下記の症状が現れることがあります。定期的に血液検査(TSH、FT3、FT4 など)を行います。
- 代表的な症状
-
- ●いつもより疲れやすい
- ●脱毛
- ●体重増加あるいは体重減少
- ●寒気がする
-
●行動の変化がある
(性欲が減る、いらいらする、物忘れしやすいなど) - ●便秘
下垂体機能障害
ホルモンの働きをコントロールしている脳下垂体が障害されることで、その働きが低下することがあります。定期的に血液検査値(TSH、ACTH など)の測定を行います。
- 代表的な症状
-
- ●頭痛
- ●体がだるい
- ●食欲不振
- ●見えにくい
神経障害
神経に炎症が起こり、感覚や運動に関わる神経が障害される病気です。手足のしびれや痛みなどの症状が現れることもあります。
- 代表的な症状
-
- ●運動のまひ
- ●手足のしびれ
- ●感覚のまひ
- ●手足の痛み
腎障害
腎臓に炎症が起こる腎炎を発症することがあります。定期的に血液検査(クレアチニンなど)や尿検査を行います。
- 代表的な症状
-
- ●むくみ
- ●尿量が減る、尿が出ない
- ●貧血
- ●血尿
- ●発熱
- ●体がだるい
- ●食欲不振
副腎障害
副腎機能が低下することで血糖値が下がることがあります。急性の場合は意識がうすれるなどの症状が現れることがあります。定期的に血液検査(ACTH、コルチゾールなど)を行います。
- 代表的な症状
-
- ●体がだるい
- ●意識がうすれる
- ●吐き気や嘔吐がある
- ●食欲不振
- ●むかむかする
脳炎・髄膜炎 ・脊髄炎
脳や脊髄、これらを覆う髄膜に炎症が起こる病気です。精神障害や意識障害が起こることがあります。
- 代表的な症状
-
- ●発熱
- ●失神
- ●吐き気や嘔吐がある
- ●精神状態変化
- ●体の痛み
- ●頭痛
- ●意識がうすれる
- ●首の硬直
- ●両足のしびれ・まひ
- ●尿が出にくい
- ●尿失禁
- ●便が出にくい
- ●便失禁
重度の皮膚障害
皮膚や粘膜など、全身に広がるような重度の皮膚症状が起こることがあります。
- 代表的な症状
-
- ●全身に赤い斑点や水ぶくれが出る
- ●ひどい口内炎
- ●体がだるい
- ●まぶたや眼の充血
- ●発熱
- ●粘膜のただれ
静脈血栓塞栓症
静脈でできた血のかたまりが血流にのって流れて行き、他の場所の血管をふさいでしまう病気です。肺の血管がつまると、呼吸ができなくなることもあります。
- 代表的な症状
-
-
●
腫 れ、むくみ - ●皮膚や唇、手足の爪が青紫色~暗褐色になる
- ●意識の低下、胸の痛み、息苦しい
-
●
薬剤の注入に伴う反応
オプジーボの投与中または投与後24時間以内にアナフィラキシー、発熱、悪寒、ふるえ、かゆみ、発疹、高血圧や低血圧(めまい、ふらつき、頭痛)、呼吸困難などが現れることがあります。点滴中や点滴後24時間以内にこのような症状が出たら、医師、看護師、薬剤師にすぐに知らせましょう。
早期発見が大切ですので、症状に気付いたら、すぐに医師、看護師、薬剤師に知らせましょう。
血球貪食症候群
血小板・赤血球・白血球などの血液の成分が、異常を起こした免疫細胞に次々と食べられてしまう病気です。初期には下記の症状がみられ、重症例では命に危険が及ぶおそれがあります。
- 代表的な症状
-
- ●発熱
- ●発疹
- ●出血が止まりにくい
- ●けいれん
- ●下痢
- ●顔のむくみ
結核
結核菌という細菌による慢性の感染症です。結核菌は肺や肺以外にも病変をつくり、重症例では呼吸が困難になったり、他の臓器の機能が冒されるおそれがあります。
- 代表的な症状
-
- ●寝汗をかく
- ●体重が減る
- ●体がだるい
- ●微熱
- ●咳が続く
- ●痰が出る
膵炎
膵臓に炎症が起きる病気です。下記の症状が現れることがあります。
- 代表的な症状
-
- ●腹痛
- ●背中の痛み
- ●吐き気や嘔吐がある
重度の胃炎
胃の粘膜に炎症が起きる病気です。また、炎症が重症化すると、胃粘膜の充血や出血を認め、血を吐いたり、黒い便が出たりすることもあります。
- 代表的な症状
-
- ●胃の不快感や痛みがある
- ●吐き気や嘔吐がある
- ●食欲不振
- ●吐血
- ●便が黒い
ぶどう膜炎
眼の中に炎症を起こす病気です。ぶどう膜炎の原因疾患の一つであるフォークト・小柳・原田病では、下記の症状の他、頭痛、耳鳴り、めまい、聴力の低下、発熱、吐き気、意識の低下、髪が白くなる、皮膚に白い斑点ができる、脱毛などの全身症状が現れます。
- 代表的な症状
-
- ●眼の充血
- ●まぶしく感じる
- ●眼痛
- ●視力の低下
- ●かすみがかかったように見える
- ●虫が飛んでいるように見える
がん化学療法ケアガイド 第3版, p146-147, 中山書店, 2020
オプジーボ電子添文 2024年7月改訂(第21版)/オプジーボによる治療を受ける方へ(2024年8月作成版)
(2024年10月作成)