小野薬品の薬をご使用の方向け情報
ホジキンリンパ腫の治療でオプジーボを使用された方へ
オプジーボ(一般名:ニボルマブ)は、私たちがもともと持っている免疫の力を回復させることでがんへの攻撃力を高める、これまでとは異なるメカニズムに基づく〝がん免疫療法〟の治療薬です。
ホジキンリンパ腫の特徴と治療法
ホジキンリンパ腫は、白血球の一種であるリンパ球が〝がん化〟して、リンパ節などでしこり(
ホジキンリンパ腫の治療は、病気の進行度(病期)やタイプ(病型)、患者さんの全身状態などを考慮して決められます。再発をきたした方や、治療の効果がみられない「治療抵抗性」の患者さんについては、これまでの治療歴や年齢、体調なども考慮したうえで治療法が選択されます。
近年は「がんと免疫」に関する研究が進み、これまでと異なる作用を持つ「がん免疫療法」が開発され、再発後の治療の選択肢がさらに広がりました※。
がん免疫療法の薬は、そのメカニズムから「免疫チェックポイント阻害薬」と呼ばれています。
日本血液学会編:造血器腫瘍診療ガイドライン2023年版, 2023
「がん免疫療法」「免疫チェックポイント阻害薬」について詳細をみる
がん免疫とはオプジーボとは
- ◆ブレーキを外してT細胞の免疫力を回復させ、がん細胞への攻撃を助ける治療薬です。
-
オプジーボは、T細胞にかけられた免疫のブレーキを解除する働きがある「免疫チェックポイント阻害薬」です。
オプジーボは、血液に入ると「PD-1」と呼ばれるT細胞のアンテナに結びつくことで、抑制信号をブロックし、免疫のブレーキを外します。
こうしたオプジーボの作用によってT細胞は、妨害を受けることなく、再びがん細胞を攻撃できるようになるのです。
オプジーボについて詳細をみる
小野薬品の薬を使用された方へオプジーボ
ホジキンリンパ腫の病理的な特徴
がんと免疫に関する研究で注目されているもののひとつに、PD-L1の発現状況があります。
最近の研究で、ホジキンリンパ腫では、PD-L1が特に高い頻度で発現していることがわかってきました1)。
ホジキンリンパ腫が、がん細胞がつくり出しているPD-L1と深い関わりをもっていることは、ホジキンリンパ腫という病気の特性を理解するうえでも大切な因子のひとつと考えられています。
オプジーボによる治療の対象となる方
◆オプジーボは、古典的ホジキンリンパ腫が再発した方、または、治療を受けたにもかかわらず効果がみられない患者さんが対象となります。
オプジーボによる治療を受けることができない患者さん
オプジーボに含まれている成分に対して、以前、アレルギー反応(気管支けいれん、全身性の皮膚症状、低血圧など)を起こしたことがある方は、さらに重いアレルギー反応が出る可能性があるため、オプジーボによる治療は受けられません。
オプジーボによる治療を慎重に検討する必要がある患者さん
次のような方は、オプジーボによる治療を受けられないことがあります。
- ◎自己免疫疾患*にかかったことがある方
- ◎間質性肺疾患**にかかったことがある方
- ◎臓器移植(造血幹細胞移植を含む)を受けたことがある方
- ◎結核にかかったことがある(発症する恐れがある)方
*: |
自己免疫疾患 免疫機能が正常に機能しなくなり、体が自分の組織を攻撃してしまう病気で、関節リウマチや1型糖尿病などが自己免疫疾患に含まれます。 |
**: | オプジーボの特に注意すべき副作用をご参照ください。 |
- 同種造血幹細胞移植についてのご注意
-
オプジーボ投与後に同種造血幹細胞移植を実施する場合は、
移植片対宿主病 等の移植合併症が現れることがあります。同種造血幹細胞移植後に発熱、皮膚障害、肝障害などの症状が現れた場合はすぐに医師に伝え、必要に応じて適切な処置を講じてもらうことが大切です。
オプジーボによる治療の進め方と投与方法
- ◆オプジーボは、30分以上かけて点滴で投与します。
- ◆治療スケジュールは、2週間(14日間)ごとに1回投与する方法と、4週間(28日間)ごとに1回投与する方法の2種類あります※。
治療スケジュールについては、主治医にご確認ください。
オプジーボの治療スケジュール
次の2つの方法があります。
※
通常、お子さんの場合は、2週間(14日間)ごとに1回投与します。投与量は、患者さんの体重によって決められます。
投与量:1回3mg/kg(体重)
なお、40kg以上のお子さんの場合は、上図に示したように4週間(28日間)ごとに1回の治療スケジュールとすることもできます。
オプジーボの特に注意すべき副作用、注意が必要なその他の副作用、ご注意
オプジーボによる治療中には、副作用が現れることがあるので注意が必要です。下記リンクから詳細をご確認ください。
治療終了後の注意点
◆副作用は、治療期間中だけでなく、治療終了後にも現れることがあります。
副作用が発現しても、早期に見つけて適切な対処を行えば、重症化を防ぐことにつながります。治療が終わったあとも、気になる症状が現れた場合はご自分で対処せず、すぐに医師や看護師、薬剤師に連絡してください。
◎適切な治療のために
「オプジーボ連絡カード」
- ●オプジーボによる治療を受けている(受けていた)ことを医療者に知らせる携帯用のカードです。
- ●他の病院を受診したり薬局でお薬を処方してもらう際は、このカードを必ずご提示ください。財布などに入れて常に携帯しておきましょう。
「おくすり手帳シール」
- ●おくすり手帳に貼っておくことで、医療者に副作用への注意や相互作用の確認などを促すシールです。
- ●確認しやすいページに貼ってお使いください。
緊急時の病院への連絡について
◆緊急受診が必要になった場合に備えて次の点を確認しておきましょう。
オプジーボの治療期間中や治療後に、病院への緊急連絡や緊急受診が必要になることがあるかもしれません。そのための備えとして、次の点を確認しておきましょう(緊急連絡先の電話番号は、目につくところに置いておくことも大切です)。
◎緊急連絡・受診の備えとして確認しておきたいこと
- ●病院の連絡先(夜間の連絡先)の電話番号
- ●病院に向かうための交通手段
- ●付き添いが必要な場合の支援方法と連絡先
(あわてなくて済むように、あらかじめ書き留めておきましょう)
◎病院に連絡する際に伝えておきたいこと
- ●患者さんの氏名、診察券の番号
- ●通院している診療科
- ●オプジーボによる治療を受けている(受けていた)こと
- ●いつから、どのような症状が出ているのか
- ●その症状で、どんなことに困っているか
(電話する際は、診察券を手元においておくとよいでしょう)
オプジーボ治療Q&A
◎医療費が高そうで不安なのですが…
高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った額1)が暦月(月の初めから終わりまで)で一定額を超えた場合に、その超えた金額が支給される制度です。患者さんが負担する費用の上限額(自己負担限度額)は、年齢や所得に応じて定められています。いくつかの条件を満たすことにより、負担がさらに軽減されるしくみも設けられています。詳しくは、冊子「知っておこう! 医療費のこと」をご覧ください。
また、①65歳以上の方、②40〜64歳の方でも主治医が認めた場合は病状次第で介護保険がご利用できます2)。
「小児がん」と診断されたお子さんについては、「小児慢性特定疾病医療費助成制度」がご利用になれます。対象となる年齢は18歳未満ですが、18歳になったあとも引き続き治療が必要であると認められる場合は20歳未満まで延長が可能です3)。
医療費についてわからないことがあったら、病院の相談窓口にご相談ください。
なお、全国にあるがん診療連携拠点病院には、がん相談支援センターがあります。他の病院を受診している方でも利用できますので、お気軽にお問い合わせください。
2)2024年2月現在
3)国立がん研究センター がん情報サービス「がんとお金」
◎再発後の治療について教えてください
再発後の薬物治療は、通常、初回の治療で使われた薬剤とは異なる薬を用いた薬物治療(救援化学療法)が選択されます。
また、「分子標的治療」や「がん免疫療法」など、抗がん剤とは異なる作用を持つ薬剤も選択肢となります1)。さらに、おおむね65 歳以下の方で健康状態がよく、化学療法の効果も良好な患者さんについては、「造血幹細胞移植」が考慮されることもあります。
実際の治療の進め方や治療の回数、順番などは、患者さんの状態によって異なりますので、主治医にご確認ください。
日本血液学会編:造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版, 2023
オプジーボ治療日誌
オプジーボによる治療中、特に気をつけていただきたい症状をチェック項目としてまとめています。
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監修:国立病院機構名古屋医療センター
副院長 臨床研究センター 先端医療研究部長
永井 宏和 先生
(2024年6月作成)