小野薬品の薬をご使用の方向け情報
ホジキンリンパ腫の治療でオプジーボを使用された方へ
オプジーボ(一般名:ニボルマブ)は、私たちがもともと持っている免疫の力を回復させることでがんへの攻撃力を高める、これまでとは異なるメカニズムに基づく〝がん免疫療法〟の治療薬です。
ホジキンリンパ腫の特徴と治療法
ホジキンリンパ腫は、白血球の一種であるリンパ球が〝がん化〟して、リンパ節などでしこり(
ホジキンリンパ腫の治療は、病気の進行度(病期)やタイプ(病型)、患者さんの全身状態などを考慮して決められます。再発をきたした方や、治療の効果がみられない「治療抵抗性」の患者さんについては、これまでの治療歴や年齢、体調なども考慮したうえで治療法が選択されます。
近年は「がんと免疫」に関する研究が進み、これまでと異なる作用を持つ「がん免疫療法」が開発され、再発後の治療の選択肢がさらに広がりました※。
がん免疫療法の薬は、そのメカニズムから「免疫チェックポイント阻害薬」と呼ばれています。

「がん免疫療法」「免疫チェックポイント阻害薬」について詳細をみる
がん免疫とは日本血液学会編:造血器腫瘍診療ガイドライン2018年版補訂版, 2020
オプジーボとは
- ◆ブレーキを外してT細胞の免疫力を回復させ、がん細胞への攻撃を助ける治療薬です。
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オプジーボは、T細胞のPD-1と結合して免疫の働きにブレーキがかからないようにする「免疫チェックポイント阻害薬」です。
オプジーボが血液に入ると、T細胞のPD-1と結びつくことでがん細胞との結合が阻害され、かけられたブレーキが解除されます。
こうしたオプジーボの作用によって、T細胞は、妨害を受けることなく、がん細胞を攻撃できるようになるのです。
オプジーボについて詳細をみる
小野薬品の薬を使用された方へオプジーボ
ホジキンリンパ腫の病理的な特徴
がんと免疫に関する研究で注目されているもののひとつに、PD-L1の発現状況があります。
最近の研究で、ホジキンリンパ腫では、PD-L1が特に高い頻度で発現していることがわかってきました1)。
ホジキンリンパ腫が、がん細胞がつくり出しているPD-L1と深い関わりをもっていることは、ホジキンリンパ腫という病気の特性を理解するうえでも大切な因子のひとつと考えられています。

オプジーボによる治療の対象となる方
◆オプジーボは、古典的ホジキンリンパ腫が再発した方、または、治療を受けたにもかかわらず効果がみられない患者さんが対象となります。
オプジーボによる治療を受けることができない患者さん
オプジーボに含まれている成分に対して、以前、アレルギー反応(気管支けいれん、全身性の皮膚症状、低血圧など)を起こしたことがある方は、さらに重いアレルギー反応が出る可能性があるため、オプジーボによる治療は受けられません。
オプジーボによる治療を慎重に検討する必要がある患者さん
次のような方は、オプジーボによる治療を受けられないことがあります。
- ◎自己免疫疾患*にかかったことがある方
- ◎間質性肺疾患**にかかったことがある方
- ◎臓器移植(造血幹細胞移植を含む)を受けたことがある方
- ◎結核にかかったことがある(発症する恐れがある)方
*: | 自己免疫疾患 免疫機能が正常に機能しなくなり、体が自分の組織を攻撃してしまう病気で、甲状腺機能異常症や関節リウマチ、1型糖尿病などが自己免疫疾患に含まれます。 |
**: | オプジーボの特に注意すべき副作用をご参照ください。 |
- 同種造血幹細胞移植についてのご注意
- オプジーボ投与後に同種造血幹細胞移植を実施する場合は、
移植片対宿主病 等の移植合併症が現れることがあります。同種造血幹細胞移植後に発熱、皮膚障害、肝障害などの症状が現れた場合はすぐに医師に伝え、必要に応じて適切な処置を講じてもらうことが大切です。
オプジーボによる治療の進め方と投与方法
- ◆オプジーボは、30分以上かけて点滴で投与します。
- ◆治療スケジュールは、2週間(14日間)ごとに1回投与する方法と、4週間(28日間)ごとに1回投与する方法の2種類あります※。
治療スケジュールについては、主治医にご確認ください。
オプジーボの治療スケジュール
次の2つの方法があります※。
※
通常、お子さんの場合は、2週間(14日間)ごとに1回投与します。投与量は、患者さんの体重によって決められます。
投与量:1回3mg/kg(体重)
なお、40kg以上のお子さんの場合は、上図に示したように4週間(28日間)ごとに1回の治療スケジュールとすることもできます。

オプジーボの特に注意すべき副作用、注意が必要なその他の副作用、ご注意
オプジーボによる治療中には、副作用が現れることがあるので注意が必要です。下記リンクから詳細をご確認ください。
オプジーボ治療Q&A
- Q 再発後の治療について教えてください
- 再発後の薬物治療は、通常、初回の治療で使われた薬剤とは異なる薬を用いた薬物治療(救援化学療法)が選択されます。
また、「分子標的治療」や「がん免疫療法」など、抗がん剤とは異なる作用を持つ薬剤も選択肢となります1)。さらに、おおむね65 歳以下の方で健康状態がよく、化学療法の効果も良好な患者さんについては、「造血幹細胞移植」が考慮されることもあります。
実際の治療の進め方や治療の回数、順番などは、患者さんの状態によって異なりますので、主治医にご確認ください。
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日本血液学会編:造血器腫瘍診療ガイドライン 2018 年版補訂版, 2020
その他、オプジーボについてのQ&Aの詳細をみる
オプジーボ治療Q&Aオプジーボ治療日記
オプジーボによる治療中、特に気をつけていただきたい症状をチェック項目としてまとめています。
- 監修:
- 国立病院機構名古屋医療センター
血液・腫瘍研究部部長
永井 宏和 先生
(2023年4月作成)