5膀胱がんの治療法

膀胱がんの治療法には、どのようなものがありますか?

内視鏡手術(TURBT)、外科手術、薬物療法、放射線療法などがあります。多くの場合、いくつかの治療法を組み合わせて治療を進めます。

膀胱がんでは、まず内視鏡検査を兼ねた「経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)」が行われます。ここで「筋層非浸潤性がん」と診断された患者さんでは、リスク分類(こちらをご参照ください)に基づき、再度のTURBTや、膀胱内に細胞障害性抗がん剤やBCGを直接注入する局所治療が検討されます。
がんが筋層に及んでいる「筋層浸潤性がん」の患者さんでは、手術で膀胱をすべて摘出するのが基本です(こちらをご参照ください)。必要に応じて手術の前後に薬物治療が追加されることもあります(補助的薬物療法)。
がんが離れたリンパ節や臓器に転移している「転移性がん」の患者さんでは、全身療法である治療的薬物療法が中心となります(こちらをご参照ください)。

病期ごとのおおまかな治療法を次ページ(こちらをご参照ください)に示しました。患者さんによって異なることがありますので、詳しくは主治医に確認してください。

お医者様との相談
国立がん研究センター がん情報サービス「膀胱がん」
日本泌尿器科学会編:膀胱癌診療ガイドライン2019年版[増補版], p5, p28-37, 医学図書出版, 2023
日本臨床腫瘍学会編:新臨床腫瘍学 改訂第6版, p470-474, 南江堂, 2021

治療の概略(膀胱がん)

膀胱がん・治療の概略

治療メモ

●筋層非浸潤性膀胱がんの「リスク分類と悪性度」

筋層非浸潤性の膀胱がんでは、がんの数や大きさや広がり、異型度(がん細胞の顔つきの違い)、上皮内がん(CIS)を併発しているかなどの要素をもとに、「低リスク」「中リスク」「高リスク」に分類されます。リスクが高いほど悪性度が高く、膀胱内に再発しやすく、筋層浸潤性膀胱がんに進行しやすいとされています。リスク分類は、今後の治療法を選択するうえで重要な指標となります。

国立がん研究センター がん情報サービス「膀胱がん」
日本臨床腫瘍学会編:新臨床腫瘍学 改訂第6版, p470-474, 南江堂, 2021
Bajorin DF, et al. N Engl J Med. 2021; 384(22): 2102-2114
Powles T, et al. N Engl J Med. 2021; 384(12): 1125-1135

監修: 東京医科歯科大学病院 病院長
東京医科歯科大学大学院 腎泌尿器外科学
教授 藤井 靖久 先生

(2024年7月作成)