11放射線療法について

放射線療法とは、どのような治療法ですか?

高エネルギーのX線などを使ってがん細胞を死滅させたり、増殖を抑える治療法です。筋層浸潤性膀胱がんでは、薬物療法(抗がん剤)と併用する「放射線化学療法」が多く検討されます。

「放射線化学療法」が検討される場合とは

放射線化学療法は、筋層浸潤性膀胱がんのうち、年齢や全身状態などによって膀胱全摘除術が行えない(希望しない)患者さんに検討される治療法です。膀胱を温存させる集学的治療の一部として行われることがあります。

転移したがんの治療

放射線療法は、骨転移による痛みや不快な症状を和らげる目的で使われることもあります。

放射線治療の進め方

放射線は、体の外から照射します。1回の照射にかかる時間は数分で、痛みはありません。通常、決められた治療計画に従って一定期間治療を続けますが、患者さんの状態によっては、照射量を減らしたり、治療期間を短縮することがあります。治療スケジュールなど詳しいことは、担当の放射線医に確認しておくとよいでしょう。

イラスト

放射線療法の主な副作用(治療中・治療後)

  • ・皮膚の変化(赤くなる、ヒリヒリする、色素沈着、など)
  • ・全身的な症状(疲労感、だるさ、食欲不振、など)
  • ・頻尿、排尿時の痛み、血尿、など
  • ・直腸や小腸の出血、下痢、など

国立がん研究センター がん情報サービス「 膀胱がん/腎盂・尿管がん/放射線治療の実際」
日本泌尿器科学会編:膀胱癌診療ガイドライン2019年版, p81-83, 医学図書出版, 2019
後藤百万 他 編:泌尿器科薬剤の考え方、使い方, p108-119, 中外医学社, 2020

監修:
東京医科歯科大学大学院 腎泌尿器外科学 教授
藤井 靖久 先生