小野薬品の薬をご使用の方向け情報
頭頸部がんの治療でオプジーボを使用された方へ
オプジーボ(一般名:ニボルマブ)は、私たちがもともと持っている免疫の力を回復させることでがんへの攻撃力を高める、これまでとは異なるメカニズムに基づく〝がん免疫療法〟の治療薬です。
頭頸部がんの治療と薬物療法
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頭頸部がんの主な治療法には、手術や放射線などによる局所的な治療と、お薬を使った全身的な治療である「薬物療法」があります。このうち、再発をきたした方や、体のほかの場所にも広がっている方については、多くの場合、薬物療法を中心とした治療が考慮されます。薬物療法については、〝がんと免疫〟に関する研究が進み、これまでとは異なる作用を持つ「がん免疫療法」が開発され、治療の選択肢がさらに広がりました※。
がん免疫療法の薬は、そのメカニズムから「免疫チェックポイント阻害薬」と呼ばれています。
日本臨床腫瘍薬学会編:臨床腫瘍薬学 第2版, p292-304, じほう, 2022
「がん免疫療法」「免疫チェックポイント阻害薬」について詳細をみる
がん免疫とはオプジーボとは
- ◆ブレーキを外してT細胞の免疫力を回復させ、がん細胞への攻撃を助ける治療薬です。
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オプジーボは、T細胞にかけられた免疫のブレーキを解除する働きがある「免疫チェックポイント阻害薬」です。
オプジーボは、血液に入ると「PD-1」と呼ばれるT細胞のアンテナに結びつくことで、抑制信号をブロックし、免疫のブレーキを外します。
こうしたオプジーボの作用によってT細胞は、妨害を受けることなく、再びがん細胞を攻撃できるようになるのです。
オプジーボについて詳細をみる
小野薬品の薬を使用された方へオプジーボ
オプジーボによる治療の対象となる方
◆オプジーボは、頭頸部がんの患者さんのうち、再発をきたした方、または、がんが体のほかの場所にも広がっている方で、薬物治療※を受けたことがある患者さんが対象となります。
※プラチナ製剤を含む化学療法(化学療法と放射線療法の併用を含む)オプジーボによる治療を受けることができない患者さん
オプジーボに含まれている成分に対して、以前、アレルギー反応(気管支けいれん、全身性の皮膚症状、低血圧など)を起こしたことがある方は、さらに重いアレルギー反応が出る可能性があるため、オプジーボによる治療は受けられません。
オプジーボによる治療を慎重に検討する必要がある患者さん
次のような方は、オプジーボによる治療を受けられないことがあります。
- ◎自己免疫疾患*にかかったことがある方
- ◎間質性肺疾患**にかかったことがある方
- ◎臓器移植(造血幹細胞移植を含む)を受けたことがある方
- ◎結核にかかったことがある(発症する恐れがある)方
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自己免疫疾患 免疫機能が正常に機能しなくなり、体が自分の組織を攻撃してしまう病気で、関節リウマチや1型糖尿病などが自己免疫疾患に含まれます。 |
** | オプジーボの特に注意すべき副作用をご参照ください。 |
治療の進め方と投与方法
◆オプジーボは、30分以上かけて点滴で投与します。
◆治療スケジュールは、2週間(14日間)ごとに1回投与する方法と、4週間(28日間)ごとに1回投与する方法の2種類あります。
治療スケジュールについては、主治医にご確認ください。
オプジーボ電子添文 2024年2月改訂(第20版)より作成オプジーボの特に注意すべき副作用、注意が必要なその他の副作用、ご注意
オプジーボによる治療中には、副作用が現れることがあるので注意が必要です。下記リンクから詳細をご確認ください。
治療終了後の注意点
◆副作用は、治療期間中だけでなく、治療終了後にも現れることがあります。
副作用が発現しても、早期に見つけて適切な対処を行えば、重症化を防ぐことにつながります。治療が終わったあとも、気になる症状が現れた場合はご自分で対処せず、すぐに医師や看護師、薬剤師に連絡してください。
◎適切な治療のために
「オプジーボ連絡カード」
- ●オプジーボによる治療を受けている(受けていた)ことを医療者に知らせる携帯用のカードです。
- ●他の病院を受診したり薬局でお薬を処方してもらう際は、このカードを必ずご提示ください。財布などに入れて常に携帯しておきましょう。
「おくすり手帳シール」
- ●おくすり手帳に貼っておくことで、医療者に副作用への注意や相互作用の確認などを促すシールです。
- ●確認しやすいページに貼ってお使いください。
緊急時の病院への連絡について
◆緊急受診が必要になった場合に備えて次の点を確認しておきましょう。
オプジーボの治療期間中や治療後に、病院への緊急連絡や緊急受診が必要になることがあるかもしれません。そのための備えとして、次の点を確認しておきましょう(緊急連絡先の電話番号は、目につくところに置いておくことも大切です)。
◎緊急連絡・受診の備えとして確認しておきたいこと
- ●病院の連絡先(夜間の連絡先)の電話番号
- ●病院に向かうための交通手段
- ●付き添いが必要な場合の支援方法と連絡先
(あわてなくて済むように、あらかじめ書き留めておきましょう)
◎病院に連絡する際に伝えておきたいこと
- ●患者さんの氏名、診察券の番号
- ●通院している診療科
- ●オプジーボによる治療を受けている(受けていた)こと
- ●いつから、どのような症状が出ているのか
- ●その症状で、どんなことに困っているか
(電話する際は、診察券を手元においておくとよいでしょう)
オプジーボ治療Q&A
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頭頸部がんの治療は、手術、放射線療法、薬物療法を組み合わせて行われます。薬物療法は、「プラチナ製剤」と呼ばれる抗がん剤を用いた治療が中心となります。再発したり遠隔転移がある頭頸部がんに対しては、免疫チェックポイント阻害薬が用いられることもあります。
プラチナ製剤の効果がみられなくなった場合や、何らかの理由でプラチナ製剤の投与が続けられない(受けられない)患者さんに対しては、オプジーボなどの免疫チェックポイント阻害薬、あるいは、プラチナ製剤以外の抗がん剤や分子標的薬による薬物療法などが検討されます。
◎頭頸部がんの薬物療法について教えてください
- 頭頸部がんの主な薬物療法と進め方
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日本臨床腫瘍学会編:頭頸部癌診療ガイドライン2022年版, p17-19,196-199, 金原出版, 2022
日本臨床腫瘍薬学会編:臨床腫瘍薬学 第2版, p292-304, じほう, 2022
その他、オプジーボについてのQ&Aの詳細をみる
オプジーボ治療Q&Aオプジーボ治療日誌
オプジーボによる治療中、特に気をつけていただきたい症状をチェック項目としてまとめています。
- 監修:
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神戸大学大学院 医学研究科 外科系講座
耳鼻咽喉科 頭頸部外科学分野 教授
丹生 健一 先生
(2024年6月作成)