8薬物療法

薬物療法とは、どのような治療ですか?

薬剤を使って、がん細胞の増殖を抑えたり消滅させることを目的とした治療です。

肝細胞がんの全身薬物療法では、分子標的薬(分子標的治療)や免疫チェックポイント阻害薬による治療が標準治療として位置づけられています。
肝切除や肝移植、穿刺局所療法、肝動脈化学塞栓療法(TACE)などが行えない進行性の肝細胞がんで、体の状態と肝臓の機能がともに良好なChild-Pugh分類Aの場合には、全身薬物療法が行われます。

分子標的薬

がん細胞の増殖に関わるタンパク質や、栄養を運ぶ血管を作るタンパク質などを標的にして、がんの増殖を抑える薬です。
肝細胞がんでは主にマルチキナーゼ阻害薬、血管新生阻害薬の2種類が使用されます。

薬

免疫チェックポイント阻害薬

患者さん自身の免疫力を高め、がんを攻撃できるようにする薬です。体内には異物を排除する免疫細胞がありますが、がん細胞の中には、これを抑制する仕組みを持つものがあります。免疫チェックポイント阻害薬は、この抑制を解除し、免疫細胞ががん細胞を攻撃できるようにします。
他の免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬と組み合わせて使用されることもあります。

国立がん研究センター がん情報サービス「薬物療法 もっと詳しく」
日本臨床腫瘍薬学会 編「臨床腫瘍薬学 第2版」 p398, 399, じほう, 2022.
濱口恵子ほか 編「がん化学療法ケアガイド 第3版」p30, 44, 中山書店, 2020.
監修:
日本赤十字社 武蔵野赤十字病院 院長
黒崎 雅之 先生

(2025年6月作成)