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2.ビラフトビ・メクトビ・セツキシマブのはたらき

ビラフトビとメクトビはBRAF 遺伝子変異を、セツキシマブはEGFRを標的にした「分子標的薬」です。

ビラフトビ・メクトビ・セツキシマブのはたらき

ビラフトビは、BRAF遺伝子変異に伴うたんぱく質の活性化をブロックし、がん細胞の増殖を抑えるはたらきをもっています。

メクトビは、ビラフトビとは別のMEKというたんぱく質に作用し、がん細胞を増殖させる命令を止めたり、お薬の効果を長持ちさせたりするはたらきをもっています。

セツキシマブは細胞の表面に並んでいる「EGFR(上皮細胞増殖因子受容体)」というたんぱく質に結合し、がん細胞の増殖を抑えるはたらきをもっています。

ビラフトビ、メクトビはそれぞれ異なるたんぱく質の活性化をブロックするため、がん細胞の増殖を抑える作用が期待できます1-3)

ビラフトビとメクトビが
がん細胞の増殖を抑えるしくみ

ビラフトビとメクトビががん細胞の増殖を抑えるしくみ

1)Maanaoui M. et al.: Medicine (Baltimore). 96(25), e7196, 2017
2)宇原 久. 信州医誌. 64(2), 63, 2016
3)Lo JA. et al.: Science. 346(6212), 945, 2014

EGFR からがん細胞を増やすシグナルが伝わる途中に、「RAS」という遺伝子があります。「RAS遺伝子」には、「野生型」と「変異型」があり、セツキシマブは「野生型」のRAS遺伝子をブロックすることで、シグナル伝達を止め、がん細胞の増殖を抑える作用が期待できます。なお、BRAF遺伝子変異をもっている患者さんでは、RAS遺伝子が「野生型」であることがわかっています。

セツキシマブががん細胞の増殖を抑えるしくみ

セツキシマブががん細胞の増殖を抑えるしくみ

日本臨床腫瘍学会:編集, 大腸癌診療における遺伝子関連検査等の
ガイダンス 第4版, 2019 年, 金原出版, 東京より作成

BRAF遺伝子は細胞の増殖にかかわる遺伝子で、何らかの変化で遺伝子に傷がつく(遺伝子変異)と、産生するたんぱく質が活性化して細胞が増え続け、がんの発生・進行につながります。

監修:
国立がん研究センター東病院 消化管内科長
吉野 孝之 先生