Step2 がん免疫療法

2免疫によるがんへの攻撃力を高める方法

がん免疫療法とは、私たちの体がもつ免疫の力を利用して、がんを治療する方法です。
がん免疫療法には、がんによって抑制された(ブレーキがかけられた)免疫の攻撃力を回復させる(ブレーキを解除する)方法と、免疫によるがんへの攻撃力を高める(アクセルを踏む)方法があります1)

ここでは、免疫によるがんへの攻撃力を高める(アクセルを踏む)方法についてご紹介します。

エフェクターT細胞療法(CAR-T細胞療法)

がん細胞を特異的に認識して直接攻撃するT細胞を、エフェクターT細胞と言います2)
エフェクターT細胞療法は、患者自身のT細胞を体の外に取り出してがん細胞の目印を見分ける遺伝子を組み入れ、がんを効果的に攻撃するエフェクターT細胞を作製・培養して増やしてから体の中に戻す治療法です2)。体の外で攻撃力を高めてから体の中に戻すことで、がんへの攻撃力が高まります。

現在、特定のがん抗原を見分ける遺伝子として、キメラ抗原受容体(CAR)遺伝子を用いるCAR-T(カー‐ティー)細胞療法が、一部の血液がんの治療で使われています。現在は、自分の体から取り出したT細胞が用いられていますが、他の人の体から取り出したT細胞を用いる方法の研究も進められています2)

エフェクターT細胞療法(CAR-T細胞療法)

CAR-T細胞療法による副作用には、免疫系全体の活性化にともなって正常な細胞が攻撃されてしまうことによる臓器障害や、T細胞が急速に活発になり増殖することによって生じるサイトカイン放出症候群(発熱、頭痛、頻脈、頻呼吸、血圧低下、皮疹、酸素濃度の低下)などがあります1,2)。このような副作用に適切に対応するため、通常は入院して治療を行います1)

その他の治療法

免疫によるがんへの攻撃力を高めるその他の治療法として、サイトカイン療法(インターフェロン、インターロイキン)やがんワクチン療法(BCG)があり、一部のがんの治療で用いられています1,2)

参考

(2023年5月作成)