あなたと一緒に、がんと向き合う
診断・告知

家族への周知の悩み
~42歳男性 大腸がんの場合~

Eさん:42歳 男性
会社員。術後にリンパ節転移が確認され、化学療法を受けることになる。
妻と小学2年の長男、幼稚園年中の長女と住んでいる。

頻繁に下痢と便秘をくり返すため、近隣の消化器内科を受診したEさんはすぐに大学病院を紹介されました。精密検査の結果、結腸がんと診断。切除術を受け、その後の検査でリンパ節転移が確認されステージIIIと確定。術後1ヵ月が過ぎてから化学療法を受けることになりました。

42歳男性

小さいお子さんにも、理解しやすい言葉で伝えましょう

「子ども達にまだ話をしていないんですよね。手術のときは“お父さん、ちょっと入院するから”で済ませましたが、抗がん剤治療となると色々見せちゃうでしょうし……。嫁さんは小さい子どもに話す必要はないと言うのですが」(Eさん)。

子どもが小さいときは、怖がらせるとかわいそうだからという理由で、親の病気のことを隠すことがあります。

しかし、どんなに小さい子どもでもご両親の変化を敏感に察することがあるでしょう。お父さんとお母さんが居る部屋に自分が入っていったら、ぱたっと会話が止まるようなことが続くと、子どもは一人取り残されたような疎外感を感じてしまうかもしれません。

子どもが小学生、あるいは幼稚園児でも、子どもは子どもなりに、理解する力を持っています。わかりやすい言葉を使って、あなたの病気のことや治療について伝えてください。「がんっていう悪い病気になってね」「この間は病院で悪いところをとってもらったんだ」「今度は悪い病気をやっつける強い薬を使うんだよ」など、場合によっては人形を使って「がん=悪の親玉」をやっつけるイメージを伝えるとよいかもしれません。

小学生くらいの子どもは何でも知りたい年頃です。ストレートに「死んじゃうの?」と聞いてくることもあるでしょう。そんなときは「そうならないように、がんをやっつける治療を受けるんだよ」と今わかっている事実を理解しやすい言葉で話してあげてください。

子どもへの伝え方については、パートナーや同居している家族と事前に話し合っておくとお互いのズレが生じないと思います。家族の中に隠し事がなくなることで、あなたもご家族もほっと息がつけるでしょう。

子供への伝え方

辛いことを一人で抱え込まないで

「実は腹の傷が気になって、術後は一緒に風呂に入っていなかった」(Eさん)。

Eさんは、二人の子どもに話をしたあとで、久しぶりに一緒にお風呂に入りました。それまでは手術の痕が気になって止めていたそうです。長男がお腹の傷をさわりながら「ここを切ったんだ。痛かった?」と聞いてきたときには、涙が出そうになりました。

「うん。でももう大丈夫だよ。心配してくれてありがとう。○○も怖いとか嫌だとか思ったら、何でもお父さんとお母さんに話してくれよな」。

子どもと話をしたあとは、あなたがお子さんのことを心配していることを伝え、気持ちを聞いてあげてください。大人でも子どもでも、誰かに話を聞いてもらうと落ち着くものです。スキンシップや笑顔など言葉以外のコミュニケーションでも、病気になってもいつもと変わらずにお子さんを大切に思っていることを伝えるようにしましょう。

がんの治療は長丁場です。これからもさまざまな段階ごとに気持ちが揺れたり、落ち込むこともあると思います。ご家族やお子さんも一緒に揺れ動くかもしれません。そんなときは、担当医や看護師、相談窓口の医療ソーシャルワーカーや相談員をあなたとご家族のサポーターにしてください。辛い気持ちを支え、お子さんへの対処法を一緒に考えてくれると思います。また患者会で同じような体験をした方の話を聞くのも、何かのヒントになるはずです。

監修:
埼玉医科大学国際医療センター 包括的がんセンター 精神腫瘍科
教授 大西 秀樹 先生
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