あなたと一緒に、がんと向き合う
再発

再発後の経済的負担
~53歳男性、胃がんの複数回再発の場合~

UUさん:53歳 男性 胃がんの複数回再発
休職中。パートの妻と二人の息子(中学生、高校生)と四人暮らし。

2年前に胃がんと診断され手術をしましたが1年後の定期検診で腹膜に再発がわかり、休職して抗がん剤治療を受けたところ奏効(がん細胞が縮小もしくは消滅)しました。その1ヵ月後、復職しようと思っていたところで肝臓に遠隔転移(再々発)が認められたので休職を継続、抗がん剤を切り替えて治療することになりました。

53歳男性

「休職が長引き、教育費や住宅ローンといった家計の悩みが出てきました」

「まだ子どもに教育費と養育費がかかるんです。妻がパートで働いてくれていますが、このまま大黒柱である私が働けない日が続いたら、住宅ローンの支払いや生活費に困ることになります。高額療養費制度はすでに利用しているので、他に何か手立てはないかすぐに知りたい。切実でした」(UUさん)。主治医に率直にその旨を伝えたところ、病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)がUUさんと奥様の話を聞きながら、色々と整理をしてくれたそうです。

医療費や生活費の負担を軽減する制度には、高額療養費制度や医療控除、傷病手当金などがあります。どの制度が利用できるかは、収入などによっても変わってきます。まずはこれらの公的制度を活用できるかどうか、医療ソーシャルワーカーと一緒に確認するとよいでしょう。本サイト内の「知っておきたい! がんの支援制度」も参照ください。

家計の固定費を見直していきましょう

しかし、公的制度を利用しても十分に「家計」が賄えるわけではありません。住居費や保険料、自動車関連費用など、毎月決まって出て行くお金である「固定費」を個別に見直してみることも大切です。固定費のうち負担が大きく見直しやすいのは住宅ローンや保険料、教育費でしょう。

固定費
  1. 1.住宅ローン1)

    ローン契約時に「がん保障付き団体信用生命保険」や「団信就業不能保障保険」に加入していたかどうかを確認しましょう。がんと診断、もしくは就業不能で条件に当てはまる場合は、住宅ローンの残高をゼロにすることができます。ただし、「団体信用生命保険」のみの加入であれば死亡するまで返済を続けることになります。この場合は金融機関(銀行など)と相談をしながら、無理なく返済ができるように月々の支払い金額を見直すなど、契約内容の変更を検討していきましょう。

  2. 2.生命保険1)

    生命保険の保険料の支払いが滞りそうだからといって、単純に保険を解約しようとしていませんか?ご家族のためにも解約は得策ではありません。まずは、保険会社に相談をしてみましょう。たとえば終身保険や養老保険を「延長保険」に変更することで保障期間を短くする代わりに保険料の払い込みを中止することができます。終身保障を残したい場合は、「払い済み保険」への変更を検討しましょう。これまでに積み立ててきた金額をもとに契約を結び直す方法で、保険料の払い込み負担を減らすために保障金額は減額されますが、期間は終身のままになります。ただし、入院特約や通院特約などの治療中に給付金を受け取れる特約を付けていた場合は、これらの特約は消滅し、給付金が受け取れなくなるので十分に検討する必要があります。

  3. 3.教育費

    子どもの学資保険を利用している方はまず、「保険料払込免除」の記載があるかどうかを確認してください。保険料払込免除とは、学資保険の契約者が突然事故にあったり、病気になったりした場合、それ以降の保険料を支払わなくても契約時に決めた祝い金や満期保険金を受け取ることができます。

これらの固定費を含む家計の悩みも医療ソーシャルワーカーに相談することができます。UUさんは医療ソーシャルワーカーと面談後、「傷病手当金や固定費を見直すことでしばらくの間は何とかなりそうです。妻がパートを増やすと言ってくれましたけど、仕事も好きだし、早く復職したいので治療をがんばります」と奥様と笑っていました。

1) 川崎由華ほか 編. がん看護 25(4) 特集2 がん患者・家族の質問に答えられる! 押さえておきたい“お金と制度”の話:321−335, 2020.南江堂
監修:
大阪国際がんセンター 心療・緩和科(精神腫瘍科)
部長 和田 信 先生
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